平成31年2月19日 東京の日経カンフアレンスルームで行われた
東京工業大学 社会人アカデミー×日経ビジネススクールpresents MOTを知る特別講座2019
先端技術における外部連携とそのマネジメント
に参加してきました。
本日の講師は仙石慎太郎先生で、
先端技術の統合的イノベーションマネジメント
分析の方法論
コンソーシアムについて
とういうことを中心に講義がありました。
目次
分析の方法論
分析法の一つに計量書誌学というものがある。計量書誌学とは、書籍の文献や雑誌の記事に対する書誌を構成する要素を計量的に研究する学問のことである。
この手法は図書館情報学、科学計量学の一分野である。
これは過去の文献を統合してデータベースとして見ると多くの価値があるので、
書籍の情報をビッグデータの一部として利用するためにその方法論を研究する学問のことであり、分析対象として論文、特許、雑誌その他の文献がある。
分析の方法論についてはいくつか確立したものがあり、
大きく生産性分析、引用分析、協力分析の3つに分けることができる。
生産性分析
論文数や雑誌分布、サイエンスリンゲージで分析していく。
数を示すことは一つの生産性分析であり、論文や特許の引用や被引用の関係を利用して
リンクを調べることにより、その系譜を明らかにしていく。
サイエンスリンゲージとは製品やサービスに利用する技術(産業技術)がどの程度、科学に依拠しているかを示す指標のことである。
http://current.ndl.go.jp/ca1687
引用分析
引用関係、論文や特許がどう利用されたのかを示す様々な指数が提唱されおり
インパクトファクターやh指数、引用ー被引用構造を利用して研究の質などを図る方法がある。
研究とは引用と被引用を繰り返すことにより発展していくので
この関係性を整理していくと大きく3つに分けることができる。
一つ目がDirect citation(直接引用)で、当該文献は何を引用しているかと言うことを見る
当該実験は何を参考にしているのかを調べるので、比較的新しい情報を得ることができる
二つ目がCo-citation(共引用)で、この仕事がどういったものを共に引用しているかを見る。
これは言い換えると、過去に遡って両者の関係性を考えることができる。
つまりその時にはわからなくても、過去のものが未来において共に使われることによって
関係性が初めてわかることがあるのが特徴である。
引用分析によるメリットは全ての論文を調べなくても、
ある特定の論文を抽出してきて、その周辺情報を調べることにより少ないデータで多くの気づきが得られることである。
分析もしやすくなるというメリットもある。
例えば同じ科学的関心を共有する論文群は共通の引用論文群を有するので、その関係性を見ることにより新たな学問体系の検出の一つの手段になる。
デメリットとしては論文に引用されるまでに多少の時間がかかるので多少のタイムラグがあるが、
そのタイムラグがだいたい5年間なので、5年間待てば新しい学問や研究、技術のトレンドを調べることに利用できる。
分析プロセスの例として被引用構造分析事例を示す
①共引用構造分析をもとに、注目分野のコンピテンシーとして抽出し分析する
②共引用構造分析からコンピテンシー候補の抽出
③クラスタリング分析(文献シェア、被引用論文数、新規性)からコンピテンシーの抽出
④2つ以上の属性(キーワード、著者所属)から注目分野のコンピテンシーの抽出を行う。
という順序で行なっていく。
協力分析
協力分析にはネットワーク分析と共起頻度分析がある。
ネットワーク分析とはコラボレーションがどうイノベーションに結びついたのかを見る、一つの直接的な方法である。
共起頻度分析とは二つの全く予期しないキーワードが同時に出てくる現象があれば、それは何らかの重要な意味を担っていると考えて分析を行う手法である。
コンソーシアムの重要性
コンソーシアムとは技術開発や市場開拓で明確な目標(タスク)があり、その中で運営がなされるものをいう。
日本は過去に半導体や、自動車産業で官主導のコンソーシアムで多大な結果を出している。
しかしながら、時代がたつに連れて、コンソーシアムが限界を迎えたのではないかとの指摘もなされている。
現在ではオープンイノベーションなどを利用した新しい形のコンソーシアムが形成されてきつつある
産学公連携コンソーシアム経営の必要条件としては以下に箇条書きする。
リーダーシップ
大目的は共有しつつも、背景や意向が少しずつ異なる複数の参加者の統括
戦略立案ユニット
研究戦略や知財・標準化戦略等の戦略課題への対応
プロジェクト統括・推進、知財管理の専任者の設置
渉外対応、法務・会計等の経営管理
アントレプレナーシップ
リスク/不確実性の許容と実践
外部資金(リスクマネー)の獲得
プロセス・システム
明快な合意形成のための、組織形態・運営プロセス設計と明文化
風土・分化
参加者間のイコール・パートナーシップの精神の涵養
お互いの専門性を尊重する必要がある
まとめ
日本でイノベーションの土壌が貧困であるのは、ネットワークが貧弱で内にこもる傾向があること。
プロパテント、リニアモデルへの固執、生態系の不在あるいは脆弱さが原因と考えられる。
そのために日本的な産業生態系の構築が必要になってくる。
地域・産業コンテクストに立脚した体制、大企業の参画、草創期の支援の強化が必要になり
特にインキュベーターが大きな役割を果たすことになりそうである。
これまでは経験則に頼りがちだったイノベーションの検討に、科学的なアプローチを導入するすること。
多分野の研究者同士が密接に協力することで、論文・特許データの詳細分析、国内外のクラスター構造の比較分析して
世界の動向と日本の強み・弱みを正確に把握して研究成果に基づき実践していくことが大切であると考えられる。