平成31年1月23日 東京の日経カンフアレンスルームで行われた
東京工業大学 社会人アカデミー×日経ビジネススクールpresents MOTを知る特別講座2019
第一回 MOTはなぜ必要か、どのように学ぶか?
に参加してきました。
本日の講師は藤村 修三先生で
日本のビジネスパーソンに求められる能力、そのために学ぶべきことを中心に講義がありました。
目次
ビジネスを学ぶ目的は
ビジネスのために何を学ぶのか
イノベーションとは
変化を起こす
変化を社会化する
まとめ
ビジネスを学ぶ目的は
個人の目的
イノベーションの実現を通じた自己実現
企業の目的
イノベーションの実現を通じた利益確保
つまりイノベーションの実現ということになる。
ビジネスのために何を学ぶのか
強い企業とは?
十分な利益を出す事ができる
顧客にとって魅力のある製品を提供できる
付加価値のある製品を提供できる
イノベーションを起こす事ができる
と言われていて、
良い結果を出すためにできることは何か考えた時に
製品を市場に出す前に利益確保の可否がわかるか?
製品を市場に出す前に顧客にとっての魅力の有無がわかるか?
製品を市場に出す前に付加価値の有無がわかるか?
イノベーションを意図的に起こす事ができるか?
という事がよく言われるが、
これらのことを考えない企業はなく、結果として良い結果にならない事が問題なので、事前性の問題がある。
つまり前述のことは良い結果を出そうと言っているだけなので何も言っていないことと同じことである。良い結果を出すために経営学を学ぶ事が本当に必要なのかきちんと考える必要がある。
本質的な問題としては、AIの登場とその影響により人に求められる事が変化してきている。
深層学習により、既存の事例、既存の理論を組み合わせて適切な解を見つける事がAIに可能になっている。
ただしルールが変化しない事が前提となっている。
このことより、人に求められる能力はルールを創る能力(要件定義)創造性が重要になってくると言える。しかしこれは既存の経営学では欠けている分野である。
つまり既存の経営学というのは必要な分野ではあるが、それだけでは競争力アップやイノベーションには繋がらず、既存のビジネススクールでは不十分と言える。
なぜなら事前性、現象メカニズム、創造性という視点が抜けているからである。
イノベーションとは
イノベーションという言葉の定義をすると、
イノベーションとは経済的成功を伴う改革行為という事ができる。
イノベーションには
1st 変化を起こす(改革、改良、発明、等)
研究開発マネジメント(内部環境)
Creativity, Designing(内部環境)
企画、マーケティング(外部環境)
2nd 変化を社会化する
生産管理、財務、会計、保守、保証(内部環境)
社会的責任(外部環境)
マクロ経済環境(外部環境)
という二つのステージがある。
一般的には1stステージは行われているが、2ndステージを実際に行うのは難しい。
変化を起こす
変化を起こすためには高次システム産業を生み出す事が必要になり、そのためには複数の企業間での知の結合が必要になる。つまり自分にないものをどうやって手に入れるか考える事が重要になる。これからは自分たちだけで変化を起こすことは難しくなる。
別の業界の知識を使用するには問題を抽象化して考えていく必要がある。
ここで面白いと感じたのは、異業種交流会などに参加して、個人的に仲良くなっても個人情報は交換できるが、肝心な業界情報は交換できない。なぜなら知識は抽象化しないと混ぜる事ができない。具体的な知識を交換したとしても具体的な知識には様々な制約条件があり、その制約条件は交換しないのでそのままでは混ぜる事ができない、抽象化の過程が必要になる。よって異業種交流会は…という事である。
求められる人材 High-performerの思考プロセス
ハイパフォーマーは共通の抽象化プロセスを通して、問題をより概念化された形で再定義し得る。
再定義された問題について、構造的類似性に基づき知識の写像を行う。
この抽象化プロセスの獲得は、学習曲線によらない。
ここで大切なことは知識の獲得は抽象化の能力とは別である。つまり受験勉強的な能力と抽象化の能力は別である。
大事なことは形而下的なこと(現象)を抽象化することと、抽象化したことを現実の問題に落とし込むことである。
脳の動きのシステムはシステム1とシステム2というものに分かれる。
システム1:衝動的で直感的。基準を察知
自動的に高速で動き、努力は不要か、必要であってもわずかである。また自分の方からコントロールしている感覚は一切ない。
システム2:論理的思考を備える。疲れる、怠け者。
複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられている場合が多い。
システム2をたくさん勉強することによりシステム1にする事ができる。
ここまでのことをまとめると
イノベーションは確率として考える
異なる分野の知識を融合するには抽象化・構造化が必要
ハイパフォーマーとは抽象化と構造化ができる人(抽象と具象を往来できる人)
システム2を動かす事が重要
ビジネスの実際的研究が必要
つまり想像や結論だけをいうのではなく、論拠をきちんと持って演繹的に説明する事が重要である。
そうすることにより論理的なセオリーを会社の中に蓄積していくことにつながる。
変化を社会化する
変化を社会化するためには
科学・技術と社会の関係を知ること、社会の変化を知る事が重要になる。
科学・技術と社会の関係を知ることは
リスク回避のために基礎研究
科学・技術システムの理解
という事が重要になる。
社会の変化を知ることは、
国際政治・経済を知ること
資本主義社会において貧富の差拡大とイノベーションによる経済発展は不可分か?
ということを考える事が重要になる。
まとめ
イノベーションを実現するビジネスの研究・開発実行能力の育成が必要であり
そのためには、実際の概念の把握と抽象化・構造化の能力が必要で
さらにそれを発揮するためににビジネスの環境を理解する必要がある。
ビジネスの環境理解のためにはビジネスの実際的研究が必要で、
その全体像を捉えるためには国際政治・経済、システム論、設計論、行動経済・行動経営
の学習が必要になる。